ディアブロ3プレイレビュー 第4話

前回の記事の最後に、

「最後まで悩んだのはネクロマンサーだったんだけど、これを落選にしたのには思い出がからむ理由がある」

と書いたが、

ちょっとここについて書きたい。

『ディアブロ II』の思い出

話は、前作『ディアブロ II』を夢中になって遊んでいた2000年までさかのぼる。

当時、俺は週刊ファミ通ニュースチームの責任者をしていて、仕事中も仕事後も、同じチームの部下たちとつるんでいた。その中のひとりが中目黒目黒であり、江野本ぎずもなのだが(さすがにこの当時に江野本はいなかったけど)、仕事後の交流は酒を飲みにいくことだけでなく、ゲームでも同様だったのだ。

このころから世間一般的に“ブロードバンド”という言葉が使われるようになり、家庭のネットインフラが太くて速いものになっていった。……まあ、現在のものと比べたら月とスッポンもいいところのおっっっっっっそい回線なんだけど、当時は、

「やっべ!! ぶろーどばんどにしたら、家のネットがめちゃくちゃ速くなったよ!! これでネットゲームやり放題だ!!」

なんて大騒ぎしていたんだよね。思えば、いい時代だったなぁ……w

そんな、インフラが整いつつある中で発売されたのが『ディアブロ II』だったのだが、もともとこのシリーズが大好きだった俺は発売日に飛びついた。もちろん英語版だがそんなことはどうでもよく、とにかく1日でも早く地獄のような世界に旅立ち、まだ見ぬとレジャーを求めて冒険したかったのだ。

俺と同じように発売日に『ディアブロ II』を買ったのが、後輩で部下のKだった。ヤツは英語版のパッケージを俺の眼前に突き付けながら、鼻息荒くつぎのように言ったのである。

「お、大塚さん!! 俺も買いましたよコレ!! さっそく今夜から、いっしょに冒険しましょうよッ!!!

言われた俺も、もちろん否はない。

「やろうやろう!! 接続できたら、連絡してくれや!!!」

その日は仕事を早く切り上げて、ふたりで逃げるように帰宅したことをいまでもよく覚えている(笑)。

そしてその日から本当に、俺とKの『ディアブロ II』な毎日が始まった。

選んだクラスは、俺が“ネクロマンサー”で、Kが“ソーサレス”

ソーサレスは聞きなれないかもしれないが、いわゆる魔法使いだ。『ディアブロ III』で選べる“ウィザード”と同じと思ってもらっていい。

ネットを介しての協力プレイは、じつにじつに楽しかった。意思の疎通は、確かチャットと電話で行っていたが、基本的に敵を蹴散らしてアイテムを拾うことのくり返しのゲームなので、リアルなやり取りはほとんど必要がなかった。

「ちょっと休憩」

とか、

「ビール取ってくるから待ってて」

その程度だったと記憶している。

そんな毎日を繰り返しているうちに、互いのキャラが成長してきた。



キャラのビルドは、俺はネクロマンサーの象徴“コープスエクスプロージョン”という、敵の死体を爆破して周囲に大ダメージを与えるスキルを多用する立ち回り。いっぽうのKは、「今日から俺のことは、“氷の魔導士”と呼んでください」と言って、冷気系専門の魔法使いになっていたのだが……。

これがもう、とてつもなく相性が悪かった……w

ネクロマンサーのコープスエクスプロージョンは、敵の死体を起爆剤にしているので、死体がないことには話にならない。なので俺はいつも、

「し、死体……! 死体はどこだ!! 爆破してやるぞ!! 死体をくれ!!」

と、頭のおかしいゾンビのようなことをつぶやきながら遊んでいたのだが、ここに氷の魔導士が加わると“ある悲劇”が起こる。

Kがくり出す氷の魔法は、とてつもなく強かった。迫りくる敵の大群を一瞬にして凍り付かせ、そのままバキャンと割れて消えてなくなる、という……。

そう、このゲームは冷気によって倒された敵は、凍ったあとに砕け散り、そのまま蒸発して消える……という過程を踏んでいたのだ。蒸発して消えるんだから、死体が無くなるわけで。死体がないってことは、コープスエクスプロージョンで爆発させる“着火剤”がないわけで……。

ある夜。

いつものように「し、死体……! 死体はどこだ!」と言いながら彷徨っていると、Kの操るソーサレスがやってきた。そして俺の目の前で強大な冷気魔法を発生させて、あらゆる生き物を凍り付かせる……。

「うっひょーーー!! 凍れ凍れ!! すべて凍って、蒸発しろ!!」

電話の向こうで、Kがはしゃいでいるのがわかった。

「カチーンバラバラシュワ~~~wwwwww」

Kの声が聞こえてきた。

いっぽうの俺は、相も変わらず死体探しである。しかし、出てくる敵を片っ端からKが蒸発させるので、俺の目の前にはぺんぺん草の1本も生えていなかった。

たま~に生きている物体を発見して喜んでも、

「あ! ててて、敵だ! よし! まずは倒して死体にして……!」

そう思っている背後から、巨大な氷の竜巻が飛んできた。そして……。

「カチーンバラバラシュワ~~~wwwwww」

「…………。あ! また敵……!」

「カチーンバラバラシュワ~~~wwwwww」

「……………………。……あ!! こ、今度こ」

「カチーンバラバラシュワ~~~wwwwww」

ついに、ネクロマンサーはブチ切れた。

「ててててて、てめゴラ!!!! 何で片っ端から凍らせんねん!!!! 俺には死体が必要なんだよ!!! 消すんじゃねえよ!!!」

言われたK、よく意味がわからないながらも、俺の剣幕を見て平身低頭。

「す、すいません!! 気を付けます!!」

しかし。

「あ! 大塚さん! 敵ですよ! まずは俺がダメージを与えますんで! 大塚さんは死体を好きにしてください!!」

そんなことを言って敵の前に飛び出していったが……。

あ、やべ……w またやっちった……。……カチーンバラバラシュワ~~~wwwwww

「おめーーーわざとやってっだろぉぉぉおおお!!!」

これが俺の、ネクロマンサーの思い出……w